Definitely Maybe(Oasis)/作品レビュー
こんにちは。Supersonicです。天気は良さげなのに満足に外にも出れない今このころ。歯痒いですよね。
歯痒いといえば私のニックネーム、"Supersonic"。
発音してみましょうか。
「スーパーソニック」。
…どことなくニックネームとしては歯痒い気がします。
しかしこれ、実はちゃんとした由来があるんですよね。適当につけたわけではないです。
さてさて、今回は私のニックネームの由来になった楽曲、"Supersonic"にてデビューを飾ったイギリスはマンチェスターのロックン・ロールバンド、"Oasis"の1stアルバム、"Definitely Maybe"をご紹介していきたいと思います。
普段洋楽を聴かない方にもなるべく分かりやすいように書いていくつもりです。
まずは件の曲を聞いてみましょう。
"Supersonic"
「…誰?」
って声が聞こえてきそうなんで、以下の三つのどれかを聞いてみてください。多分ピンとくるはずです。
"Whatever"(シングル)
"Don't Look Back In Anger"(2ndアルバム、"(What's the story?)Morning Glory"に収録)
"Wonderwall"(同上)
おそらく、上記のいずれかを聴いてもらえれば「ああ!この人たちか!」となっていただけると思います。
Oasisはイギリスを代表するロックバンドの一つであり、日本でも絶大な人気を誇っています。
端的に表現するならめちゃくちゃクオリティの高い「普通に良い曲」を作りまくったバンドです。
さて、上の三曲を聴いて「あれ?なんかボーカルの声違くない?」と思われた方もいらっしゃると思います。
それもそのはず、このOasisはソングライター兼ギターボーカルのノエル・ギャラガー、メインボーカルのリアム・ギャラガーを2トップとする「兄弟バンド」なのです。
現在バンドは解散して、この二人は各々ソロで活動しています。
私が高校生の頃に「ハマった瞬間に解散した」のは今では良い思い出です。
☆作品概要
Definitely Maybe(「確実に、おそらく」の意)は1994年に発売されたOasisのデビューアルバムです。
後に発表された彼らの代名詞である2ndアルバム、"(What's the story?)Morning Glory"に比べるとややあら削りでノイジーな色が強い作品になっています。
しかししかしこの頃から彼らはもう十分に頭角を表しており、今でも「定番」とされている曲が数多く収録されています。
既にOasisのファンである方は「なんでこいつ2ndから紹介しねぇんだ?」と思われるかもしれませんが、すみません自分も本当にそう思います。
☆超音速で書かれたデビュー曲、"Supersonic"。
デビュー前、各地でギグ(規模の小さいライブ)を重ねていたOasis一行。その日も夜にギグを控えたある日、リーダーのノエルは極度の酩酊状態で、後のデビュー曲を書き上げたそうです。
所要時間はなんと10分。
さっそくセットリスト(演奏曲目)に加えられないかとマネージャーに問い合わせたところ、
「お前な、こんな曲を書くために20年も下積みをしてるバンドが一体いくつあると思ってんだ」
という、褒め言葉なのか叱責なのかよくわからないリアクションを食らったとか。
"Supersonic"と銘打たれたこの曲は、アルバム発売前にデビューシングルとして発表されるまでに至りました。
さてさてここでライブ映像をみましょう。
ギラッギラですね。
このギラギラしたギターのキマり具合とベースやドラムのドゥルドゥルした激しいうねり(グルーヴと言います)は、後の彼らのアルバムではあまり見られない傾向です。
この雑然とした初期衝動は、ポップミュージックの一番面白い部分でもあります。
デビュー時の「瀬戸際」のような精神状態こそが、「成功した後」では到底再現できないような凄まじい作品を生み出すことがよくあるのです。
このデビューアルバム、Definitely Maybeはその代表格の一つであると言えるでしょう。セールスとしても累計1000万枚を突破しています。
しかし、Oasisが他のバンドと一線を隠していたのは最初から「自分たちは成功する」という確信があったことです。このSupersonicの歌い出しは、
「俺は俺自身である必要がある。他の誰にもなれやしないから」
というセンテンスから始まります。
そして、サビに入る直前のフレーズでは
「お前は自分の言い分をぶつける術を見つけなきゃいけない。明日になってしまう前に」
と言い放っています。
彼らはデビュー以降(前も)、いろいろな問題を起こしながらあっという間にスターダムにのし上がったことを考えると、この曲は極めて暗示的な性質があったのだなと思います。
この曲に関して、ノエル・ギャラガーはのちにこう述懐しています。
「この前ファンの女の子に『Supersonicを聴いて人生が変わった』って言ってもらえたんだけどさ。この曲書いてた時はめちゃくちゃ酔っ払ってたから全く記憶がなくて、特に深い意味とか無いんだよね…。いやなんか申し訳ないんだけど」
……まぁカッコいい曲に変わりはないんで、仔細はどうでも良いでしょう。曲が良くて最低限演奏できればいいんですよ。バンドなんて。
なんだったんだ今までの下りは…。
☆出るわ出るわの怪曲群
さて、このアルバムがどれぐらい凄いかというと、いわゆる「ライブの定番」とか「バンドの代名詞」みたいな曲がわんさか収録されていることです。少し代表的なものを紹介しましょう。
アルバムの冒頭に収録されている、タイトルが直球すぎるこの曲も例外ではありません。
"Rock'N'Roll Star"
この透き通って張りのある声質はメインボーカルのリアム・ギャラガーのもので、Oasisのシンボルでもあります。兄ノエルも「このボーカルには光るものがある」と言っていたほど。
サビのファルセット(裏声)が特徴的な曲。
ドラマーが埋葬されているこのPVはファンの間では語り草です。
"Slide Away"
リアムのボーカルが最も光る曲。
長尺の曲ですが全く間延びしないあたりがノエルの並外れた作曲センスを物語っています。アウトロ(曲の終わり際)が素敵。
"Sad Song"
日本版のボーナストラック。ノエルが弾き語るアコースティック・ソングです。リアムの青天井を突き抜けるような声質とは対照的な、粘りのある芯の太い声質が特徴的です。
☆総評
かれこれファンになって10年以上経ちますが、Oasisはいまだに自分の中で音楽を聴く際の「中心軸」となっているバンドであり、恐らくこれからもそうあり続けるバンドなんじゃないかなと思います。
このバンドはとにかく「曲が良い」バンドであり、ギャラガー兄弟二人の破天荒なキャラクター性も相まって今後色あせることなく新たなファンを生み出し続けるでしょう。
普段洋楽を聴かない方でもすんなり聴き入れられる度量のあるバンドだと思い、今回自分のニックネームを呼び水にして紹介させていただきました。
幸い、今はYoutubeで洋楽は好きなだけ漁れる時世です。一度趣味にしてしまえば非常にコスパの良い沼でもあります。もっとも、ハマるとその限りではありませんが。
この外出自粛の機会に、普段聴き慣れない音楽に触れてみるのも一興かもしれません。
余談になりますが実は自分、今はOasisよりも上述したノエルのソロプロジェクト、Noel Gallagher's High Flying Birdsの方が好きだったりします。
"Ballad Of The Mighty I"
上記で挙げた初期衝動はもう感じられませんが、長年作曲を手がけてきたノエルの才気がOasisとは異なる形で遺憾なく発揮されており、今では、自分は「Oasisのファン」というより「ノエルのファン」と自称する方がしっくりくるほどです。
「騒々しい音楽が苦手」という方は、こちらから攻めてみても良いでしょう。